ashita text

野蛮に現在のテキストを積み重ね

居心地の演技

 遠い親戚だらけの集まりはどこかモゾモゾする。無難な質問と当たり障りのない答え。曖昧な昔話、社交辞令的ワードがひたすら飛び交う。初対面の人だったら自己紹介で時間稼ぎはできる。でも、うっすら知ってるのにほぼ他人の親戚となると……。どこか居心地が悪い。30分後にはスマホをいじっている。

 居心地は人で左右される。居心地をよくしようとがんばっている人の振る舞い方(演技)が下手だと不快になるのは明らかだ。ついでにいえば、集団から離れてひとりポツンと客観的に眺めているのも演技だ。人が集まれば演技が始まる。居心地をよくするための演出家が見ていてダメ出しをされることもなく、教えてくれるわけでもない、演技が下手な人は下手なままだ。上達するにはどうすればよいのか。

 居心地というのが自分の居る場所すべてなら、ネット空間の居心地だって考えなければいけない。アイコンや文体も演技的だ。現実と違うキャラを(しかも複数)演じてもいいわけで、大げさな演技が好きな人もいれば、自然体の演技が好きな人もいる。現実よりも演じ易さはある。

 ネットの振る舞い・演技を現実に持ち出すのは、空間(舞台)が違うので違和感しかない。お前大丈夫か? と心配される可能性だってある。現実世界には遠い親戚がいるのだ。自分を薄く知っている人を想定して行動しないといけないのだ。モゾモゾとしたままならさを突き抜けていく覚悟が居心地をよくする近道だろう。覚悟が演技を上回っていく。