ものすごく種類がある。多様性があることを伝えたい。アレもコレもソレも……ひとつづつすべて言葉にするのは面倒なので、簡潔に「AからBまで」という表現を使うことになる。
「ワインから日本酒まで」
「歌謡曲からジャズまで」
「パンダからゾウまで」
「ゆりかごから墓場まで」
AからBまで表現について、はたして「から」に込められた飛距離が相手に伝わっているのだろうか。そもそも、「から」に言葉は無限に詰め込めるのか。
例えば「ワインから日本酒まで」という場合、どうやら酒というカテゴリーについて、そのなかに含まれる多くの種類が「から」に含まれているようにみえる。しかし、ノンアルコールビールはそこに入っているのだろうか。甘酒は。もしかしてフリードリンクくくりで、コーラが入っている可能性も捨てきれない。逆に「ワインから日本酒まで」の間にハイボールだけしか入っていないことだってあり得る。
点と点を結んでいくように「から」がつなげる2つの言葉の間の想像線。つながった線の太さは? 長さは? 広さは? ラインからこぼれ落ちているのはいったいなんだろう。
さらに「私からあなたまで」ではどうなのか。自分基準だが、間には誰か(何か)がいるのか。あなたまでの距離が遠い時はどうすればいいのか。あるいは細かったら。とりあえずこの二点の間を往復して探す、あるいはなにかがくるのを待つしかない。そもそも、どうでもいい言葉のガラクタで「から」を埋めてしまうかもしれない。
森羅万象から森羅万象まで。
言葉から言葉まで。
なにか広がりがあるようで本当はなにもないことだってある。
結局は「自宅から会社まで」くらいのよくある距離(空間)へと着地する。